KG 数学科教育法C (2013.11.10)  学生のレポートでの質問等に対する回答と雑感

学 生の皆さん、貴重な時間を割いて素晴らしいレポートを書いていただきありがとうございました。大変 参考になり、これからの授業の改善にも大きな力となります。
また、こういった機会を与えてくださった*とし*先生と関西学院にあらためて御礼申し上げます。

関 西学院大学理工学部 数学科教育法C

講話 「中学校における数学教育」ー教育機器の利用学生の感想、QA     2013.11.10    垂井 剛

Q 教育実習であのような授業は可能なのかなと思いました。

A 担当の先生に 相談して、しっかりと準備すればできると思います。うちに着ていた実習生は、ポスタープリンタ をよく利用していましたし、私の授業を真似て、iPhoneでくじ引きもやってました。パソコンとプロジェクターの利用も 準備すればできると思います。

Qまた毎回やっている小テストもすごく有効的だなと思いました。しかし正解するまで毎回同じ問題を やって答えを暗記してくるような生徒はいないのかなと思いました。

A 計算問題では答 だけでは許可してません。途中の計算をちゃんとかいてなければ、間違い扱いにしています。途中のやり方まで暗記できる力があれば、それはそれ でOKで す。それどころか、毎回「教えてください」と同じ問題を質問してきて、毎回同じ説明をしてやってしまう生徒がかなりいます。前もって、前の説 明を見て勉強してくるというレベルにまで、なかなか達しないという現状もあります。

Q この授業方法を行ったら生徒の反応はどうなのか成績はどうなのかっていうことが聞きたかった。

A 卒業生のお礼の メッセージなどを見ると、個別学習シートはとてもためになったという生徒も多かったです。

 ただ、 すべての生徒をこれで救えるというわkで はありません。何かもっと効果的な方法を考え出す必要があります。 プレゼンテーションや実験授業、CAIMSTでの授 業も好評ではないかと思います。

 「丁寧 でわかりやすくい授業をありがとうございました」という感想がいつも多いです。 

 「毎日YouTUBEの解 説を見てました」という感想もありました。

 成績に ついては、やってないときとの比較はできませんが、何らかの方法で測定できればいいなあと思います。

Q あとこんなことやっているよっていうのは分かったけどもそれをどうやって作るのか、どのように 活用すれば 効果的なのかっていうのを知りたかった。

A CAIMST自体はDelphiというObject Pascal の 開発環境で、友人との共同開発です。

  <開 発環境>

   Delphiは 有料ですが、よく似たLazarusと いうフリーのIDE(開 発環境)もあります。

  回転体シミュレーション、関数の各ソフト、成績処理のEXAMDelphi で す。

  個別学習シート IWSheet は、LibreOffice calc mathを 利用利用した、calcbasicの マクロです。

  円周 率の多桁表示は、 Ruby で す。

  ホー ムページ上の、方程式や式の計算は、Javascript を使ってます。

  <活 用方法>

  個別 学習シートは授業のはじめ、回転体、関数、円周率などの単発のソフトは授業中、CAIMSTのコース

 は、パソコン室で1〜2時間連続または、家庭や塾で、YouTUBEのビ デオ,Javascriptの 教材は、各自の自宅学習用という形を考えています。

Qあと授業風景の映像を見たが、寝ている子とかもいたけどもそういう子はどういう対処をしているのか なと思った

A 普通の場合は起こします。何度か起こしても無理ならその場はそれ以上無理はし ません。

 相手の状況に応じた対応が必要です。

(感想) 仕事の効率を高めるためにExcelに成績を打ち込 める形式のものを作成されているのを見て、これは賢いなと感じました。

(コメント) DVDに入れたEXAMはエクセルではなくて、成績処理専用にDelphiで作ったものですが、多くの学校では(私の学校も含めて)EXCELで成績処理、個人表、通知簿、指導要録、調査書、名簿類など、いろいろな資料 を作るところがほとんどです

(感想) また毎回その人の進度に応じたテストを作成しているというのにも驚きました。私は最 初、この先生は授業の準備にいったいどれだけの時間を費やしているのだろうと思いましたが、先生はものの10分ほどだとおっしゃって いました。

(コメン ト) ただ、私はほとんど毎回、生徒のシートを見て、添削したりしてますので、それに1クラス20分くらいはかけてますので、合計30分くら いは費やします。1日平均3クラスとして、1時間30分はそれに費やしています。

 今は、 部活を主でやってないので、そのゆとりの部分を学習指導に生かすことを考えて、数年前からやりはじめました。

(感想)しかし、実際は機器利用をしてい る先生は少なく、生徒もほかの先生たちの普通の 板書授業とはちがって困惑してしまうのではないか、生徒指導などに追われて機器の準備をすることが困難なのではないかという不安もま だあります。

(コメン ト) 他の授業とは違う形なので、返って変化があっていいと思います。困惑はしてないように感じます。

 生徒指 導に追われることもありますが、教室に持っていって、電源をつないでスイッチを入れるだけにしておけば、そんなに時間はとりませんし、教室に なかなか入らない生徒は、空き時間の教師が対応するように決めているところも多いかと思いますのでその時間授業をする教師はそれに手をとられ ることはそんなに多くないと思います。また、教材そのものの準備には時間がかかりますが、それは放課後や生徒が帰ったあと、休日などにやるこ とが多いです。ただ、私自身は趣味を兼ねてますので、苦になるというより楽しみになってます。

 個別学 習シートも、生徒に追い越されないように問題を追加ししていく必要がありますので、危なくなったら、最低5題は追加してから印刷しないといけ ません。でも、5題や10題ならすぐに追加できます。

Q 教師をされて何時ごろから機器利用を授業に取り 入れられましたか?

A 成績処理を始め たのは、就職した年にローンでパソコンを買ってプログラムを作ってからです。

 研究会 で発表するために誤答分析というのもパソコンでやりました。当時は珍しかったと思います。

 授業に 取り入れたのは、就職5年めくらいからかと思います。そのころにMSDOSができて、パソコンで漢字が書けるようになり、ワープロも実用化 されてきたと思います。PCVANの 加藤さん(ぱすかるさん)が、KiTと いう、ツールを作られて、それをよく利用させていただきました。私はそれを参考にDOSCAIMSTをつくりました。NIFTYFCAIのデータラ イブラリに全国からたくさんのソフトもUPさ れるようになり、KiTCAIMSTのコー スもたくさんUPさ れました。岡田先生のお世話で、パソコン関係や教育関係の雑誌にも何度か紹介され、各地の教育センターや大学のライブラリにも登録されたり、 学校の研究会や塾でも利用されたりするようになりました。

Q 今後どのような機器利用が授業に導入されると思いますか?

A タブレットでデ ジタル教科書を、生徒と双方向で使う、大型液晶TV(プロジェクターの代わり)でプレゼン

  ビデ オやロボットが解説して、教師が個別指導にあたる、授業だけでなく、スマホや携帯などを使って、いつ   

  でも どこでも教師に質問したり答えたりできる形態なども考えられますね。

(感想)でも,授業では,現場の先生のお話を生で聞けるせっかくの機会だったので、垂井先生自身 に90分 間お話をしてもらいたかったです。今年だけあまりお話をしてもらえないなんてもったいないというのが正直な感想です。

(コメン ト) 申し訳ありませんでした。本当は話したかったのですが、あえてCAIMSTのコースウェアで自主学習していただきました。そこに言いた かったことはほとんど詰め込んだつもりです。そして、その効果を試したかったというのが本音です。でも、おっしゃるとおり、生の声は大切で す、何かの機会に時間さえ設定していただけるのでしたら、喜んで飛んでまいりますが、大学の貴重な時間を割いていただくわけにも行きませんの で、それこそ、ビデオにでも撮ってお渡しできればいいなあと思ったりしています。

Q「現在の中学生はパソコンをどの程度駆使できるか?」

パ ソコンを用いた授業をするのに支障の無い中学生は,何割程度か?

中学校によってわりと差が大きいと思います。技術家庭科でパワーポイントでプ レゼンを作ったり、ワードでカレンダーを作ったりして、それなりに活用している学校も多いと思います。パソコンについては、操作のごく基 本的な事は大丈夫みたいです。もし、こういった事ができていない学校なら、最初の数十分くらいは、基本事項の説明や練習をしてから教材利 用に入りますが、数学の教材を利用する程度なら、それで大体うまくいくと思います。

 もちろん、パソコン嫌いの生徒もいる可能性はありますので、だれでも喜んで パソコン室に行くと思わない方がいいです。パソコンが得意と言えるような生徒はごく少数かと思います。そういう生徒には、教える側に回っ てもらうのもいいと思います。 

(感想)しかし、黒板とプロジェクターの使用度のさじ加減は難しいようにも感じました。あまりに もプロジェクターを使って説明をしすぎるあまりにノートが取れず復習のしようが無いなどということが起こらないような配慮も必要なの かなと思います。(作ったスライドを印刷して配布するなど)

(コメン ト)私の場合は、特に低学年の場合は、ノートに書くことと書かなくて良いことを区別して指示するようにしてます。「それでは、ノートにまとめ ましょう」と言って、ノートに書くことをスクリーンの横の黒板にチョーク書きます。中学生の場合は、そういった配慮が必要です。また、私の場 合は、プロジェクターで映すのは教科書の内容をPDFにしたものがほとんどで、生徒も同じ教科書を持ってますので、そこに 私の真似をしてアンダーラインを引いたり、補足事項を書き込んだりもしてます。

(感想) 配られたDVDを活用することにより数学のテスト問題を簡 単に作ることができます。

(コメン ト) 数学のテストを簡単に作成するツールとして紹介したのは、LibreOffice Writer math を利用 するということですが、最近はWordで も便利になってるようです。どちらもTeXよ りは便利に なってるのではないでしょうか。

(感想)書く事が困難なグラフ、また、同時にいくつかのグラフを表示することができ、生徒もより 理解が深まると思います。つまり、効率よく授業を進めることができると思います。

(コメン ト)実は、関数のグラフを描画するソフトは、Grapes,Geogebra,Cyndelleraなど、数え切れない ほど優れたものがあります。ただ、今回梱包したfunc.exeniji.exeなどは、それらには(たぶん)ない 機能があります。 それは、関数の式を入力して、それにあう点を自分でプロットして、それが正しいかどうかを判定するという機能や、数題のド リル形式のグラフ描画問題があるという点です。その特徴を理解していただくと、とてもうれしいです。

(感想)先生の授業を一度受けてみたいなとも思いました。

(コメント)クラスの状況によってだいぶやり方に差はありますが、ぜひ見物し に来てください。